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これこそ藤子・F・不二雄先生の世界だと。

今回の映画化は基本的に原作通りですが、ゲストキャラクターのパピがしっかりと描かれているのが印象的ですね。新キャラクターとしてお姉さんのピイナを登場させたことで、大統領とはいえ普通の少年であることも強調される。ピイナとのやりとりから、原作では見えづらかったパピの背負ってきたものが見えてくるようです。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より

以前に対談したとき瀬名さんが、「映画のリメイクは、前作でのび太やドラえもんができなかったことをさせてあげるためにあると思っている」といった意味のことをおっしゃっていたんです。それを聞いてから、私はリメイク版の見方が変わったんです。前作との違いを見つけると、「今回はこれをさせてあげたい」という作り手の思いがあったのかなと。それが今作では、「パピを10歳の少年らしく葛藤させること」だったのかなと感じました。パピが、のび太たちと対話できる時間をもらったような気がして、すごくよかったです。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より

のび太たちとの交流を重ねたことで、パピは人を思いやる心の大切さに気づくんですね。辻村さんの『のび太の月面探査記』や2020年に公開された『のび太の新恐竜』にも、やはり「思いやり」という言葉が出てきます。最新作もまたしかり。『小説版 のび太と鉄人兵団』で思いやりの心の大切さを書いた僕としては、最近の映画でそこが強調されているのがとてもうれしかった。

いつも一人で問題を背負い込んでしまうパピが、のび太たちとの交流を通して、仲間を頼っていいんだと気がつく。それを誰かのセリフで諭されるのではなく、物語の流れで見ている子どもたちにメッセージとして届けているのがとても印象的でした。

それは、戴冠式での演説シーンによく表れていますよね。あそこは映画オリジナルのシーンということもあってとりわけ印象的でした。これまでドラえもんの映画では、友だちや仲間の大切さをずっと描いてきましたよね。あの場面で語られる内容にその完成形を見たようで、本当に感動しました。これこそ藤子・F・不二雄先生の世界だと。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より
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