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子どもたちへの配慮だと感じさせないのが脚本の力なんだろうなと。

今年の映画の原作まんがは1984年に『コロコロコミック』で連載されていて、そのころぼくは高校生でした。リアルタイムで夢中になって読んでいたことを覚えています。最終回の展開は、本当にびっくりしたなあ。

私がこの作品に初めて触れたのは、幼いころに父がビデオに録画しておいてくれた映画でした。「ロボッター」をつけたしずかちゃんのぬいぐるみたちが動き出す場面など、最初は細部を楽しんでいただけでしたが、お話をすべて理解できる学年になってからは、私たちの身近な世界と遠い宇宙がつながる展開に胸が高鳴りました。とにかく、冒頭のパピの脱出シーンから衝撃的でしたね。のび太の日常ではなく、遠い世界で起こったらしい未知のトラブルから始まるという……。

瀬名さん辻村さんの対談画像

藤子・F・不二雄先生の原作まんがも、その場面から始まりましたね。今回の映画化では、いくつかの新しい要素が加わっているものの、展開はほぼ原作通り。僕が子どものころに見た作品が、いまの技術でよみがえったかのように感じられてうれしかったなあ。

(『大長編ドラえもん6巻 のび太の宇宙小戦争』より)
(『大長編ドラえもん6巻 のび太の宇宙小戦争』より)

見ていてとてもワクワクする映画ですね。原作を読んで先の展開を知っているのに、それでも先を期待して見られるのがすごい! これって、スタッフの皆さんが原作の力を信じているからだと感じました。実は映画を見るまで、少し不安もあったんです。子どものころに見た映画が好きすぎて、新しい映画はここが違う、あそこが違うって思ってしまったらどうしようって。でも、まったくそんなことはなくて、本当にすごくよかったです。

実はぼくも、脚本の佐藤大さんがかなり内容を変えてくるのではと予想していたんですが、驚くほど違和感のないリメイクでした。そもそも映画を作っている人たちは、藤子先生の原作を映画化しているのであって、過去の映画のリメイクを作っている感覚ではないのでしょう。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より

1980年代と2020年代では、子どもアニメをめぐる状況もどんどん変わってきていて、そうした中で細部への目配りも素晴らしいなと思いました。たとえばピリカ星でPCIAと戦う場面では、相手は無人機であることが知らされます。その理由は原作にも描かれていますが、ギルモアが兵士たちを信用していないからです。物語に必要性があってそうしているのであって、見ている子どもたちへの配慮だと感じさせないのが脚本の力なんだろうなと。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より

のび太たちが市街地で大暴れする前には、「この一帯は閉鎖地域です! 市民のことは気にしないで!」というセリフもありましたね。いま藤子先生がいらっしゃったら、やっぱりそうしたセリフを書かれたと思いますよ。

制作体制がリニューアルした最初の映画『のび太の恐竜2006』で、クライマックスの戦いの後に、悪者に操られていた恐竜を保護したタイムパトロール隊員のセリフが新たに追加されていたんですね。「スピノサウルスは回復しそうです!」っていう。それを聞いたときに、「いまのスタッフ」が「いまの子どもたち」に向けて、「新しいドラえもん」を作っているんだっていうのを感じたんです。そうしたスタッフの思いが、最新作まで脈々と受け継がれてきたんでしょうね。

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