幼いころの思い出のドラえもんソングは?

ドイツから日本に移り住んだ8~9歳ごろから児童劇団に入っていたのですが、その劇団の夏休みの高原合宿が大好きでした。そこへ向かう道中のバスで、先生がドラえもんの映画を流してくれたんです。
家にテレビがない環境で高校生まで育ったので、それがぼくにとって、はじめてのアニメ『ドラえもん』。
特に記憶に残っている作品は『ドラビアンナイト』や『竜の騎士』、あと『海底鬼岩城』も
ビデオだったので時代はバラバラです。だから、ドラえもんの主題歌といえば、やっぱり映画のオープニングに流れる『ドラえもんのうた』ですね。

キャラクターのイメージソングでは、『のんきなのび太くん』が印象に残っています。テレビアニメも児童館や友だちの家で、たまにみていたので。そして、なんといっても「お~れはジャイア~ン、ガ~キ大将~♪」の『おれはジャイアンさまだ!』ですよ!!

テレビアニメ40周年企画で『ドラえもんのうた40th』を歌ってみて、いかがでしたか?

とにかくうれしかったです! もとの曲は童謡レベルで子どもたちみんなが歌える一番有名なアニメソングといってもいいんじゃないでしょうか。 でも、先代のものという印象が強かったので、ぼくらが歌うのはおこがましい。これを歌うには先代の26年間を超えなきゃいけない、とずっと思ってきました。 たぶん、現レギュラー声優みんなの共通認識だったと思います。
だから、今回のリバイバルのお話をいただいて、プレッシャーをすごく感じました。と同時に、認められたようなうれしい気持ちにもなりました。

もちろん、『夢をかなえてドラえもん』という、ぼくら世代の主題歌にも誇りを持っています。もう10年以上前になりますが、 歌手のmaoさんが『夢をかなえてドラえもん』を野外ステージで初披露したとき、子どもたちは素直に喜んでくれたのですが、親御さんたちは物珍しい顔でみていました。 きっと、なじめない“2曲目感”があったんでしょうね。
いつか、その親御さんたちが家で口ずさんでくれるようになったらうれしいな、と思ったのを、はっきり覚えています。 それが少しずつ実現してきたタイミングで、先代の『ドラえもんのうた』を歌わせていただけるのは本当に感慨深いです。

『ドラえもんのうた 40th』の
レコーディング風景。手前から
水田わさびさん(ドラえもん)、
かかずゆみさん(しずか)、
大原めぐみさん(のび太)、
関智一さん(スネ夫)、
木村昴さん(ジャイアン)。

レコーディングはレギュラー声優5人そろってやりました。自分の中でムネアツだったのは、5人横ならびで歌ったこと。
ぼくが一番端っこで、横をみるとスネ夫の関さんは高音パートの練習をしていたり、のび太の大原さんはずっと一点を見つめて集中力を高めていたり、 しずかちゃんのかかずさんは鼻歌を歌っていたり、ドラえもんのわさびさんはどら焼きを食べていたり(笑)。
みんな緊張していました。未来の子どもたちにも聞いてもらえるようにレコーディングに挑むわけですからね。

あと、『ぼくドラえもん』をわさびさんがリバイバルしたというのもアツいです! 「わたしでいいんですか?も~、わたしなんかが~」なんていっていましたけど、たぶんめちゃくちゃ噛みしめていたと思いますよ。

歌手・ラッパーとしても活躍されている木村さんですが、ジャイアンとして歌うときに心がけていることは?

じつは歌がへたくそだと思っているのは周りのひとたちだけで、ジャイアン本人としては最高の芸術のつもりで歌っています。 彼は自分が世紀のビッグスターであり、いつの日か有名になることを信じて疑わないわけですから。だとしたら、わざとへたに歌うのは違うな、と。
「とにかく歌うことが好き」というジャイアンの感覚を忘れてはいけないと心がけています。
彼が表現している芸術はメロディーとかリズムとか、いままでの音楽の枠に収まりません。枠にとらわれず、気持ちよく歌う。それがジャイアンだと思います。

新旧ジャイアンの熱唱シーン。
左は『ジャイアンテレビに出る』
(1983年)、
右は『スランプ!ジャイアン愛の新曲』
(2017年)より。

声優になりたてのころは、わざとへたくそに歌ってしまったことがありました。そしたら音響監督の田中章喜(あきよし)さんが「気持ちよく歌っていいよ」とアドバイスしてくださったんです。 ジャイアンがふだん聞いている音楽を想像してみて、演歌っぽくこぶしを入れてみたり、オペラっぽくビブラートを入れてみたり、そういう遊び方もだんだんできるようになりました。 彼の音楽を愛する心を表現したいと思っています。

そういえば、最近ツイッターで見て笑っちゃったツイートがありました。ジャイアンには、たてかべ和也さんが演じた第1期と、木村昴の10代の第2期、 20代の第3期があるというんです(笑)。たしかに10代のころの声をきき直すと、声優としての技術の足りなさもありますが、そもそも声が子どもです。 20歳を過ぎて、すこしずつ大人っぽくなってきましたが、まだまだですね。