8月4日(金)放送のパワーアップ第二弾は「天井うらの宇宙戦争」。
のび太の部屋が宇宙空間になる今回のおはなしも、有名な原作エピソード。藤子・F・不二雄先生が原作に込めた思いを、八鍬監督はどう表現していくのでしょうか。
——今回のTVアニメパワーアップでは、名作をたくさんアニメ化されるとお聞きしました。
八鍬 プロデューサーをはじめ皆さんと話しあって、名作中心で行こうと決めました。やはり名作と呼ばれる作品には『ドラえもん』のいろんな魅力がギュッと詰まっていますから。
大杉 でも、みんながよく知っているおはなしばかりだから、名作を扱うのは難しいよね。
八鍬 そうですね。何度もアニメ化されてきた作品もあるので、プレッシャーはあります。
大杉 八鍬監督は、原作をアニメ化する時にどんなことを大切にしているの?
八鍬 原作のコマとコマとの間に隠された細かなやりとりを読み解いて、F先生ならきっとこう考えただろうと、ストーリーをふくらませていくことですね。
大杉 TVアニメは1話10分30秒つかえるので、原作よりすこし長いおはなしにできるからね。余白に何を入れるか。そこに監督の個性も見えてくると思うんだ。
八鍬 今回、最初の何本かは寺本幸代さん(「のび太のひみつ道具博物館」など)や高橋敦史さん(「のび太の南極カチコチ大冒険」)など映画の監督を経験した豪華メンバーが、絵コンテを描いてくれました。
大杉 まさにオールスター制作陣だよね。TVアニメは、7チーム体制で動いているから、関わっている制作陣の数は700人を超えるんじゃないかな。
八鍬 今回、大杉さんと相談して絵のトーンもポスターカラー調に戻したでしょう。それによってより深みのある表現ができるようになったと思うんです。
大杉 とくに背景に深みが出たね。木の葉の表情ひとつとっても、あえて輪郭線をぼかすことで、これまでにない立体感が表現できたと思います。
八鍬 美術監督の清水さんは、手描きの時代からアニメ制作に関わっていた方で、今回デジタルなのに手描きのポスターカラーの感じを上手く出してくれました。
大杉 部屋のすみをくらくしたり、光源を意識して影のグラデーションを入れたり…『ドラえもん』では、そういう演出をあまりやらなかった。
八鍬 でも今回の背景なら、のび太が寂しそうにちょこんと座っているシーンなど、効果的に使うことができる。
大杉 そうすることで、シリアスさのレベルが変わるんだよね。ほかにも、わざと線を乱したり、ぱっと見にはなかなか気づかないようなすごいテクニックが駆使されています。
第3回は、8月11日(金)AM10:00ごろ公開予定です。
※「天井うらの宇宙戦争」のおはなしは、「ドラえもん サマースペシャル」と、てんとう虫コミックス『ドラえもん』19巻に収録されています。
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