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ドラえもんの映画ってその人にとっての故郷なんですよ。

今年の映画、あらゆる面でお見事で、心から楽しめました。ワクワクしながら夢中で見ることができて。山口晋監督をはじめ、スタッフの皆さんには大変なこともたくさんあったと思うんですけど、できあがった映画を見ると、スタッフの皆さんが楽しみながら作っていたことも伝わってくる。藤子先生がこんなことをおっしゃっていますよね。「描くぼくが楽しみ、読んでくれる人も楽しむ。そんなまんががずっとぼくの理想なんだ」と。そんなふうに、作り手も受け手もみんなが楽しめる映画として、ドラえもん映画には、これからも続いていってほしいと思います。

今年の映画はわりとハードな作りになっていて、もしかしたら小学1年生くらいの子には難しいかもっていうくらいのレベルじゃないでしょうか。それでも「これでいいんだ」と自信を持って公開したことに、子どもたちへの信頼をすごく感じました。この表現でも子どもたちはわかってくれるはず、見てくれる子どもたちを信用しよう。そうした作り手の気持ちが、楽しみながら作ることにもつながっていくのだと思います。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より

私がものごころがついたときには、すでにドラえもんの映画はあたりまえに存在していましたが、瀬名さんはそうじゃなかったと以前におっしゃっていましたよね。上の世代のドラえもん体験を新鮮な思いで伺っていたのですが、最近は自分より下の年代の人たちに対してのジェネレーションギャップを感じることも多くなりました。「いちばん好きなドラえもんの映画」を聞くと、藤子先生の原作まんがを持たないタイトルも多くあがってきます。世代や時代によって、ドラえもん映画の体験も移り変わっていくんですね。

ぼくが思うに、ドラえもんの映画ってその人にとっての故郷なんですよ。子どものときに見たドラえもんが、その人にとっての本当のドラえもんでね。家族や友だちと映画を見た帰り道に、「おもしろかったね」って話しながら見上げた青い空や故郷の景色と、映画の思い出が一体になっている。ぼくがいまも初期の作品を大事に思っているように、いまの子どもたちも自分の故郷で見た今年の作品を、いつまでも忘れないでいてほしいですね。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021より

毎年、春にドラえもんの映画を見られることがあたりまえだと思っていたのに、ここ2年はコロナ禍でそれがかなわなかったですからね。だからこそ余計に、映画館でドラえもんの新作を見られることの喜びを感じます。

春は、映画ドラえもんの季節。これはわれわれ日本国民の了解事項ですから、来年も、再来年も、その先もずっと、ドラえもんの映画を見続けていたいですね。少なくともあと90年、ドラえもんが生まれる2112年までは(笑)。

辻村さん瀬名さん対談時写真

瀬名さん、辻村さん、すてきなお話をありがとうございました!

瀬名秀明プロフィール 辻村深月プロフィール
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