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2024.08.10

『T・P本 〜アニメ「T・Pぼん」と
藤子・F・不二雄の世界』刊行記念!

Netflixシリーズ
「T・Pぼん」
安藤真裕監督インタビュー
【後編】


藤子・F・不二雄生誕90周年企画として初のシリーズアニメ化を果たし、話題沸騰中のNetflixシリーズ「T・Pぼん」。 その監督を務めた安藤真裕さんに、オリジナルエピソードをふくむシーズン2のこだわりや注目ポイントを語っていただきました。
※ネタバレあり

◎Netflixシリーズ「T・Pぼん」シーズン1/シーズン2 独占配信中




−シーズン2からヒロインがリームからユミ子に変わりますが、こだわったところはありますか?
原作を知らないでシーズン1から観てくださっている方々に自然に受け入れてもらえるよう、見ず知らずの他人より、顔見知り程度の知り合いの方が良いかなと考え、原作とは違いシーズン1の最初から軽くユミ子を登場させました。
基本は原作ベースなので、脚本上は原作からユミ子のキャラが大きく変更することはないのですが、映像化する流れの中でキャラの感情を豊かに、芝居や仕草を増やしていって現代的な聡明な少女として見えるよう意識的に演出しました。
繊細な動きやコロコロ変わる愛くるしい表情、シーズン1のヒロイン・リームとは違うタイプのヒロインになったと思います。難しい注文にこたえてくれた制作スタッフに感謝です。
原作のリーム人気は本当にすごいですからね。ただ今回のアニメ制作のスタッフには、原作漫画を知らない世代も多く、その中で特に女性スタッフには圧倒的にユミ子派が多かったです。「世間的にリーム派が多いのは納得できない。ユミ子、かわいいじゃないですか」なんていわれたことも(笑)。僕は立場的に中立なので、どちらのキャラもそれぞれ輝いてもらえればうれしいですね。

−シーズン2で特に観てもらいたいお気に入りのエピソードは?
第18話「T・P隊員の犯罪」
スケールの大きいクジラ捕りの話であり、最後にタイムパトロール隊員デフォーとの対決アクションもある、いつもとはテイストが違うお話です。原作だと水中にいるデフォーに向かって、ぼんたちはタイムボートに乗って突っ込みますが、アニメではデフォーもタイムボートに乗せて対等な立ち位置で決闘させました。中世ヨーロッパの正々堂々とした決闘のイメージで、絵的な見栄えを意識しました。

17世紀のイギリスで先輩TP隊員が捕鯨船のモリ撃ちを殺害!? ぼんたちは身内の犯罪を防ぐために駆けつける!


−アニメオリジナルのエピソードもあるということですが。
もともと今回の企画が始まった当初からオリジナルのエピソードを入れてほしいというオーダーがあったので、最終話をふくむラストの2本をアニメオリジナルにしました。
具体的には第23話はいつものような人命救助の任務で原作には登場しないインダス文明のモヘンジョ・ダロへ。その任務と並行して、最終話の第24話につながる展開としてリームを再登場させました。原作ありのエピソードと比べて違和感を抱かれないようにしながら最終話のエピソードにバトンが自然に渡るよう慎重につくっています。
そして、最終話は歴史的な様々な事件を原作のテイストに絡ませながらボリュームたっぷりに仕上げました。シリーズを通してのぼんの成長と気づき、そして今日もどこかでタイムパトロールが活躍していて未来へ続いていくという希望を持てる終わり方にしました。第3シーズンがあることを期待して(笑)。オリジナルエピソードに対しては不安も多い原作ファンのみなさんもいらっしゃると思うので、どんなリアクションが来るかドキドキですが、シリーズ通して最後まで観てよかったと思ってもらえたらうれしいです。

第23話「雨に沈む遺跡」
紀元前2400年ごろのモヘンジョ・ダロで、季節外れの洪水から青年を救いに行くアニメオリジナルエピソード。


第24話「タイムパトロールぼん」
アニメオリジナルの最終話はシーズン1のヒロインであるリームが救助対象。主人公のぼんの成長にスポットが当たる。



−アニメ制作を通じて、あらためて感じた「T・Pぼん」の魅力とは?
シンプルにSF冒険ジュブナイルものとしての完成度の高さ。さまざまな時代と場所を訪れる華やかで知的な舞台設定でありながら描かれるのは歴史上の有名人の激動のドラマではなく、ふつうの人の物語というストイックな作劇。そして、何より常にふつうの人に注がれるF先生の温かいまなざしが、この作品の魅力じゃないでしょうか。だから並平凡という主人公もふつうの人で、彼の英雄譚(たん)じゃないからこそ、いつの時代でも普遍的に輝ける作品なんだろうと思います。
僕はこれまでF先生の作品とは別のフィールドでアニメの仕事をしてきたので、まさかこのような形で作品とめぐり会えるとは思ってもいませんでした。原作の伝えたいことを映像化することが大前提として、これまで培ってきたスキルをポジティブに作品へフィードバックできたらと考えながら取り組みました。幼少期にF先生の作品に育てられた世代のひとりとして恩返しできる機会をいただけて本当に幸せです。


[安藤真裕監督プロフィール] 
あんどう・まさひろ
1967年生まれ、北海道出身。アニメーター。高校卒業後、アニメ制作会社あんなぷるに入社し、数多くの原画を手がける。その後フリーに転身し、『劇場版クレヨンしんちゃん』シリーズや『カウボーイビパップ 天国の扉』などに参加。2007年に劇場アニメ『ストレンヂア 無皇刃譚』で監督デビュー。以降、テレビアニメの監督もたびたび務める。


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Fライフ増刊 T・P本(ぼん)

〜アニメ「T・Pぼん」と藤子・F・不二雄の世界

定価:2,420円(税込) 
発行:小学館
発売日:2024年7月17日
電子版も好評配信中
本書にも安藤真裕監督インタビューのロングバージョンほか、シリーズ構成担当・柿原優子さん、メインライター・佐藤大さんインタビューもたっぷり掲載しています!







「T・Pぼん(タイムパトロールぼん)」
【ストーリー】
なにもかもが平凡な中学生の並平凡は、未来からやってきたT・P(タイムパトロール)隊員の少女リーム・ストリーム、不思議な生き物ブヨヨンと出会う。
歴史に影響しない、不幸な死を迎えてしまった人間を救う活動をしているというT・P隊員。任務を遂行する中でリームたちを見た人間の記憶は消されることになっているが、とあることから記憶が消されなかった凡は、やむをえずタイムパトロールの見習い隊員として迎えられる。
リームとバディを組んで任務を遂行していくことになった凡は、時代も場所もひとっ飛びできるタイムボートをはじめとする未来の道具に大興奮。お調子者の凡だが任務を通じ、それぞれの時代で賢明に生きる人たちの人生に触れていくことになる。 「T・Pぼん」と一緒に、地球と人類の壮大な歴史を旅しよう!!

◎Netflixシリーズ「T・Pぼん(タイムパトロールぼん)
【キャスト】
並平凡(なみひら ぼん):若山晃久/リーム・ストリーム:種﨑敦美/ブヨヨン:宮野真守/安川ユミ子:黒沢ともよ 白石鉄男:日笠陽子/柳沢:伊藤節生/白木陽子:白砂沙帆/ゲイラ:加瀬康之

【スタッフ】
原作:藤子・F・不二雄
監督:安藤真裕 シリーズ構成:柿原優子 メインライター:佐藤大 キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤雅弘 メカニカルデザイン:玉盛順一朗 美術デザイン:綱頭瑛子 美術監督:大西達朗 色彩設計:中山しほ子 撮影監督:張盈頴 3DCG監督:三宅拓馬 編集:髙橋歩 音響監督:若林和弘 音響効果:倉橋静男、西佐知子(サウンドボックス) 音楽:大島ミチル
企画協力:藤子プロ アニメーション制作:ボンズ 製作:Netflix
※張盈頴の頴の左下は示すではなく禾
©Fujiko-Pro ©2024 Netflix

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