まずは、応募してくださった皆様、本当にありがとうございました! 応募作、すべて読みました。
辻村深月賞に選んだ齊藤進之助くんの感想文は、月でののび太とドラえもんの冒険を心から楽しんでくれたことが伝わる内容で、冒険を通じて「のび太がかっこよくみえた」こと、恥ずかしがりやの自分のことについて書いてくれました。作文の最後で「のび太くん、いっしょに月をたびさせてくれてありがとう」とお礼を言ってくれましたが、こちらこそ、のび太たちと月をたびしてくれて、本当にありがとう!
特別賞にあたる辻村賞は一人だけ、と思っていたのですが、その後、三浦萌子さんの感想文を読んで、三浦さんにもぜひこの賞をもらっていただきたい!と強く思いました。 三浦さんの感想文には「ひみつ道具は持っていないから」というタイトルがついています。「定説の世界に行きたい」「定説バッジがほしい」という願いについて書かれたその作文に、私自身が藤子・F・不二雄先生や『ドラえもん』への憧れについて書いた『凍りのくじら』という小説の主人公の姿が重なり、本を通じてご自分の〝今〟と向き合ってくれたことに、胸がいっぱいになりました。
他にものび太やドラえもんへのお手紙の形式で書いてくれたものや、「友への手紙」と題してカグヤ星の復興に向けて頑張るゴダートの目線から書かれたもの、「このコンクールが主に対象にしているのは子供なのだと思いますが、大人の私が書いてしまってすいません。ただ、どうしても感想を伝えたかったので」と三十代の男性が書いてくださったものや、いつか物語と音楽の世界に進みたいという自分自身の夢を月になぞらえて「朧月」と表現して語ってくれた中学生の男の子の感想文。 作中の「想像力」に触れながら、想像力には「よい想像力」と「悪い想像力」があるのではないか、とまっすぐな感性で考えてくださったものや、のび太の言葉から「友達ってなんだろう?」と誠実に向き合ってくれたものもたくさんあって、今回の小説でのび太やルカと一緒に一生懸命考えてきてよかったなぁと、幸せを感じました。
また、〝ほんやくコンニャク〟があったらなぁと思うオーストラリアの日々の中で『ドラえもん』の映画を楽しみに、今回の小説も大事に読んでくれた小学生の野本優奈さんの感想文にもぐっときました。他にも、中国のドラえもんファンの方がこれまでの『ドラえもん』映画や別の藤子作品への考察も交えながら語ってくれたご感想など、海外からの応募作にも強く感銘を受けました。
小学生からの応募作には、裏面の名前や住所をお子さんがひらがなで書いた上や下に、おうちの方がわかりやすく漢字で清書してあるものなども多く、家族の時間の中で『ドラえもん』が読まれ、愛されている様子が伝わってきました。
どの感想文も本当に力作揃いで、すべてに対してここで触れたいくらいです。全部の作品に共通していたのは、みんな、〝「ドラえもん」が大好き〟という思い。 「来年の映画も楽しみにしています」と結びにある感想文も多く、とても嬉しかったです。