バックナンバーはこちら!!

インタビューチャンネル 第5回ゲスト
瀬名秀明さん×山崎 貴さん×芳賀義典さん
Special three-man talks

欲しいひみつ道具は何ですか。

芳賀
 僕は「どこでもドア」より「タケコプター」がいい。単純に「空を飛んでみたい」願望ってあるじゃないですか。すごく原初的な願望が、そのまま形になっているのが楽しくていいんです。高層ビルの窓を開けて、「じゃっ!」なんてやってみたいですよ。あと、やっぱり「神さまごっこ」は欲しい(笑)。

山崎
 俺は逆に「どこでもドア」かな。どこにでも簡単に行けちゃうって、子供のころすごく惹かれました。今みたいにインターネットが発達してくると、仮想社会では実現しかけてますけどね。もう一つ挙げると、「ガリバートンネル」。みんなで小っちゃい家を作るのって子供心にワクワクしましたね。

瀬名
 僕は「未知との遭遇機」。ボタン押すと、近くを飛んでたUFOが飛んでくるって、ただそれだけの(笑)。「地球製造機」は本当にあったら楽しいと思うな。途中で自分もその世界に入れたりもするし。

山崎
 ひみつ道具って便利なものが多いけど、子供にとっては“便利なもの”より“面白いもの”のほうが魅力的だったりしますよね。

1
2
3
4

ドラえもんが人生に影響を与えたことはありますか。

山崎
 すごく影響は受けてますね。監督デビュー作の『ジュブナイル※解説参照>>』の脚本は、ネットで流れた「ドラえもん最終回の噂」を聞いて書いたんですよ。その噂は藤子先生が作ったものではないけど、ドラえもんが存在しなければ『ジュブナイル』も存在しなかった。

瀬名
 小学生のとき、自分でドラえもんのオリジナル・エピソードを作ってノートにマンガを描いていたんですよ。そういう意味では、小説家になったきっかけの一つかもしれません。少し前、『江戸川乱歩※解説参照>>全集』の『大暗室』に解説を書いたんですけど、僕自身は江戸川乱歩と藤子・F・不二雄、この二人に多大な影響を受けていると思いますね。
 僕の小説の中では、『八月の博物館※解説参照>>』が一番、藤子先生のテイストが強いです。言葉にすると、“日常からの冒険”かな。近いんだけど遠くまでつながってるっていうか、日常のすぐ近くに新しいものがある。子供って常にそういうものを求めてると思うんですよ。

芳賀
 ごく普通の町で、宇宙規模の事件が起きたりしますからね。そういえば、乱歩にも似たような感覚がありますね。「どこにでもある町も、ちょっと引っくり返すと実は…」という形になっている。

山崎
 “日常につながった感覚”は俺も大好きです。子供は外国とか非日常的な場所に簡単には行けないから、「身近に非日常的な世界がある」という感覚は大切だと思うんですよ。例えば、子供のとき押し入れって神秘的に思えますよね。家に屋根裏があるとわかったときは嬉しくて探検しましたよ。
映画『ジュブナイル』
小さなロボット“テトラ”と一緒に、地球を侵略しようとするエイリアンに立ち向かう少年たちの活躍を、最新VFX(Visual Effects)技術を駆使して描いたSFアドベンチャー映画。2000年に劇場公開されて大ヒット。
VFX(Visual Effects)という言葉が広く使われるようになった作品。イタリア・ジフォーニ映画祭・子供映画部門最優秀賞のほか、ニフティ映画大賞2000日本映画部門映像効果賞を受賞した。

江戸川乱歩
日本に探偵小説という新しいジャンルを切り開いた。大衆文学の世界や少年小説の分野で熱狂的な人気を集めた作品は、いまも多くの読者に読みつがれている。
代表作『人間椅子』 『パノラマ島奇談』 『黄金仮面』 『怪人二十面相』 『少年探偵団』 『新宝島』など。

小説『八月の博物館』(角川文庫刊)
20年前の夏の午後、ふと足を踏み入れた洋館。そこで出会った不思議な少女、黒猫、博識の英国紳士。"ミュージアムのミュージアム"というその奇妙な洋館の扉から、トオルは時空を超えて、"物語"の謎をひもとく壮大な冒険へと走り出す…。藤子作品に強く影響を受けた瀬名秀明氏が、藤子・F・不二雄先生に贈った大長編ファンタジー。

芳賀
 日常を舞台に、とんでもなくスケールのでかい事件が起こる。でも、どんなスペクタクルが起きても、最後は日常に戻るっていうのもすごいですよね。

山崎
 もしかすると、日本人特有の感覚かもしれません。長年、ドラえもんで刷り込まれてるから変に思わない(笑)。ハリウッド映画のスペクタクルなら、ああは行きませんよ。最後は王様になったりして終わる。

瀬名
 セオリーとして、「物語の中で主人公は変わらなければならない」という強迫観念があるのかもしれませんね。ところが、のび太は全然変わらない。どんな大冒険をしても、最後は元の日常に戻って相変わらずテストで0点取ってたり(笑)。

山崎
 映画ではジャイアンがあんなにいいヤツなのに、帰ってくると元のいじめっ子に戻ってるのも不思議でした(笑)。
 ドラえもんが未来の世界に帰ったとき、のび太が成長していたことが初めてわかるでしょう。映画ではできない、すごく長い時間をかけた感動のさせ方ですよね。でも、むしろ人間が成長するスピードって、そのほうがリアルじゃないかとも思うんですよ。
 また、主人公がちっとも成長してないように見えるのに、全然飽きさせずにストーリーを引っ張っていくのはすごい!


<<1 2 3>>

(C) 藤子プロ・小学館 掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。
All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.